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Special Contents

〈​コミュニティ診断ツール〉が完成しました!

​権ゼミ × NEC ―産学共同プロジェクト―

研究の源流

「診断ツールのPublic Philosophy」

(権 安理)

 この「診断ツール」というわかりやすいアイテムの背後には、2人もしくは2つの源流があります。アレグザンダー(1936~2022📍豪)とデカルト(1956~1650📍仏)――建築と哲学における2人の巨人による仕事です。アレグザンダーは、『パタン・ランゲージ』という書物で有名な1970年代の建築家。デカルトはご存じの通り、17世紀に活躍して『方法序説』で有名な哲学者。でも、どうしてこの2人なのでしょう!?
 

アレグザンダーと『パタン・ランゲージ』

(平田訳:鹿島出版:1984)

 パタン・ランゲージって何? エッセンスを説明すると次のようになります。
 人々が「居心地良いなあ、素敵だなあ」と感じる「環境(まち・空間・場所・建物)」には秘密があるに違いない。一から開発をするのではなく、その秘密(暗黙知)を言語化して例示し、これに依拠してまちや素敵な空間を作っていく。パタン・ランゲージは、このようなモチーフから生まれたものです。具体的には、「街路を見下ろすテラス」「玄関先のベンチ」「自分を語る小物」といったものです。
 この書物の「カバーの袖」には次のように記されています。「本書を用いれば、家族とともに自分の家を設計したり、隣人とともに自分たちの町や近隣を改良することができる。さらにオフィス、作業場、公共建物などの設計や、実際に建物を施工する手引きとしても役立つ」。
 つまり、パタン・ランゲージは皆が「まち/空間づくり」をするための方法論(How to本/取説本/マニュアル)なのです。

 

デカルトと『方法序説』

(落合訳:岩波文庫:1953)

 1637年に刊行されたこの書物は『方法序説』という名で有名ですが、本当のタイトルは『かれの理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を求めるための方法の序説…〔略〕…』(3頁)です。かなり難しく感じますよね。
でも『方法序説』のフランス語は、Discours de la Méthode.なので、超訳すれば「方法についてのお話し」。この書物は勉強のための方法論(How to本/取説/マニュアル)なのです。
 冒頭には「良識(ボンサンス)はこの世でもっとも公平に分配されている」
(12頁)と記されています。『方法序説』は特権階級やインテリでなくても、神様に頼らなくても、自分の理性をちゃんと使えば、皆が勉強で正解にたどり着ける――こんなモチーフで書かれたものです。

 

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 もちろん、感覚(居心地良いなあ、素敵だなあ)を重視するアレグザンダーと、理性(合理性)を重視するデカルトには大きな相違があります。でも、2人が「みんなに分かりやすいもの」「誰もが使えるハウツー本的なもの」を書こうとした点では共通しています。
 そして、権ゼミで作成した「コミュニティ診断ツール」は、アレグザンダーとデカルトの良いとこどり、もしくは『パタン・ランゲージ』『方法序説』の「コミュニティデザイン/つながり形成バージョン」なのです。権ゼミ生が「大学で習ったり本から勉強した知、コミュニティ・つながり形成に関する知」を社会に還元しようと考えて、若者らしい言語で綴った「方法論(How to本/取説本/マニュアル)」です。
気軽にできる診断や綺麗なデザインを楽しみながら、子どもから大人まで皆さんのコミュニティデザイン・つながり形成に貢献することを願っています。

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